真言宗智山派吉祥院珍珠山

仏教コラム

仏のことばを読む六. 般若心経   その6

⑤禅定波羅蜜多
禅定とは坐禅をして精神を集中させることです。その精神のあり方を三昧(さんまい)あるいは三摩地(さんまじ)といいます。瞑想にはさまざまな種類があり、名称もさまざまにありますが、それらの総称が禅定です。
 修行僧は師から仏の教えを聞き、教理の理論を学びます。そして、学んだ内容を体得するために師に禅定の方法を教えてもらい、その通りに実践します。その際に注意すべきことは、まず瞑想にふさわしい静寂で清らかな場所を選びます。特に涼しい林の中などが選ばれます。そして座る場所を清らかにして、座具などを用意し、足を組んで坐します。背を伸ばし、上半身を少しばかり動かし、腰を安定させ、背を伸ばし、やや顎(あご)を引き、眼を半眼にし、呼吸を整えます。これら一連の仕草を調身(ちょうしん)・調息(ちょうそく)といいます。呼吸の整え方も師から教えてもらいます。このようにして心を落ち着け、師から教えてもらった仏の教えをイメージ化し、そのイメージや経典の言葉を詳細に観察し、考察します。それをくり返して仏の教えを体得するのです。このような精神集中の全体を禅定といいます。
 以上の五つの修行を完成させたのがそれぞれの波羅蜜多であり、この波羅蜜多を実現するために修行するのです。そして、とりわけ禅定の中で仏の教えを詳細に観察するために働かせる智慧が般若です。
 

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