やまと心を詠ずる歌
はじめて密厳流のご詠歌をお唱えした時……。私はその曲を今でも覚えています。きっと誰もが、はじめてお唱えしたご詠歌は忘れないでしょう。そして、密厳流のご詠歌をはじめる多くの方は、おそらく『同行和讃』をお唱えしているはずです。
先生がお唱えする『同行和讃』を聴きながら、ご詠歌の音符を目で追い、少しずつそのメロディーを覚えてゆきます。すがすがしく、うららかな調子の音の響きは、すぐに耳になじみ、自然と心に染みこみます。そして「同じさとりの道あゆむ……」という歌詞にあるとおり、一緒にご詠歌をお唱えする仲間とのつながりを、しみじみ感じさせてくれるのがこのご詠歌です。
ご詠歌の譜面は、誰でも、はじめからは読めません。耳から何度もその旋律を聴いて、間違えながら、くり返しお唱えして、少しずつ身に付けてゆくのです。密厳流のご詠歌の歌詞は、そのどれもが信じる心を育み、メロディーは気持ちを和やかにしてくれます。そして、あなたに見える世界は瞬く間に広がり、仏さまの広大無辺な世界へと連なってゆくのです。
心をこめて一生懸命にお唱えすれば、お稽古した分だけ、密厳流の音の調べは心にも身体にも染み込んでゆきます。そうして、お腹の底から声を響かせ、自分の想いを思いっきり表現する。そんな時、あなたは打ち震えるほどの感動に包まれ、仏の世界にめぐり逢えた喜びを体感できるはずです。
密厳流ご詠歌の響きに親しむ頃には、お稽古を続ける仲間たちと一緒に、発表する機会が訪れます。密厳流の奉詠大会が各地域で開催されますし、また、全国大会も開催されますので、こうした機会は、日頃のお稽古の成果を発表する晴れの舞台となります。
また、自分がお稽古してきたご詠歌の上達ぶりを確かめる検定もあります。この検定が、少しの緊張感を生み、ご詠歌を続けてゆく励みになるという方もいらっしゃるのです。
ご詠歌をお稽古してその成果を披露する。それは、仏の世界を信じる心を深め、仏の道への修行そのものとなります。
ご詠歌の響きは、心をさらなる高みへと育んでくれるのです。
