風信(かぜのたより) No.86

自分のことや家族、家のことはとても大切です。自分の支えとなるものですから、そのことを一番に考えることは当たり前です。誰もが自分のことを考える、言いかえれば自分のことしか考えられない。他人にまで頭が回らない、心を配れない、人とはそういう性質です。ただ、年に何回かは自分ばかりでなく、周りのこと、他人のことを想いやってみませんか? その機会が吉祥院では毎年夏に行われる7月5日の大施餓鬼会です。

さて、施餓鬼とは何でしょう? 餓鬼に施すから施餓鬼会。吉祥院は「大施餓鬼会み魂まつり」という法要にて餓鬼に施します。餓鬼とは餓えた鬼、つまり食べ物を何が何でも欲する鬼のことです。この鬼はお腹がすき過ぎて悪さをします。どんな悪さか?亡くなられた故人の魂が仏に成るための修行を邪魔します。ですから、お釈迦さまは餓鬼に悪さをしないよう、修行の邪魔にならないように法(教え)を授けます。つまり、餓鬼に「食を施す」というのが、施餓鬼会という法要の由来です。
餓鬼という言葉にはもう一つ意味があります。それは「供養されたいけれど供養されない魂」です。例えば、震災や災害で亡くなられた霊や魂は、ご遺体が見つからない、一家がすべて災害に巻き込まれると、供養されないみ魂となります。施餓鬼会では有縁無縁の一切の精霊に供養します。自分の家のご先祖さま、亡きみ魂のみならず、無縁の仏さまのご供養も丁寧に行います。
法要の最後には「普回向」というお経を皆さんとお唱えします。
「願わくはこの功徳をもって、あまねく一切に及ぼし、我らと衆生とみな共に仏道を成ぜんことを」
一年に一回の大施餓鬼会。
大勢のお坊さんと一緒に皆さんも、自分のことだけでなく、有縁無縁の精霊の冥福と無事を祈りましょう。
