風信(かぜのたより)No.5
日常と違うとは、いったい、どんなことでしょう? 日常と違うから、非日常ですよね。このことを昔から「ハレ」と言います。例えば「晴れ着」「晴れがましい」「晴れ晴れ」などという言葉は、いつもとは違う特別な日、特別な気持ちを言いあらわしています。その他に「正式」という意味も含まれます。また、昔からのお宮参りや七五三、入学式・卒業式・成人式・結婚式など、その他、正月や節句、お祭りも入るでしょう。人生の節目のお祝いや季節を感じさせる行事には、人が人として成長するために深い意味が込められ、育まれてきたのではないでしょうか? 非日常に込められた、そんな深い意味合いを知ることもなく、単に堅苦しい慣習というだけで軽く見過ごしてきた結果が、いまの癒されない、かわいた心となって持てあます。それが、私たちの姿となっていないでしょうか? ハレと同じように、家での仏事も、私たちの心を豊かにする要素がいっぱいつまっています。自分の力の至らなさを思い、無事を祈り感謝する。自分のルーツであるご先祖さまに思いをめぐらす。自分の内に、家族の中に、目に見えない、手に触れられない、かけがえのないものを感じる。心を込める、思い入れる、それが、自分を豊かにする何よりのものと言えるのではないでしょうか……