真言宗智山派吉祥院珍珠山

仏教コラム

わかりやすくQ&A真言宗の教えって、なに?【2:真言宗の祖師って誰だろう?】

Q1真言宗の宗祖は誰ですか?
 日本の仏教には多くの宗派があります。真言宗、天台宗、浄土宗、曹洞宗、浄土真宗など、他にも多くの既成教団(昔からある宗派)があります。そして真言宗には18の総本山があり、それぞれが宗派となっています。和歌山の高野山は高野山真言宗、京都の智積院は真言宗智山派、奈良の長谷寺は真言宗豊山派、その他にも醍醐寺や仁和寺などがあります。
 この真言宗の宗祖は弘法大師空海です。空海は幼名を真魚(まお)と名のり、出家してからは空海といいました。また空海の著作には自分の名を「遍照金剛(へんじょうこんごう)」と記したものも数多くあります。承和2年に高野山の奥ノ院にご入定なさってから後に大師号(だいしごう)(天皇より賜る尊い僧への称号)として弘法大師の諡(おくりな)を天皇より賜りました。大師号を賜られた僧侶は他に、最澄(伝教大師)や円仁(慈覚大師)など数名がいらっしゃいます。
Q2宗祖の他にはどんな人がいますか?
 真言宗ではこの大師号を賜った僧侶がもう一人います。それが真言宗智山派や豊山派が中興の祖(または派祖)と仰ぐ覚鑁(かくばん)です。興教大師が諡です。興教大師覚鑁さまは浄土往生思想が趨勢(すうせい)を極める平安時代後期に、高野山で修行を積まれ、弘法大師空海の境涯に少しでも近づきたいと願い、空海と同じ修行をくり返し実践された方です。
 その当時、高野山で争いが盛んになると山を下り、紀州の岩出の庄に堂宇(どうう)を建立して根来山を築きました。弘法大師空海が日本にもたらした真言密教を復興させるために真言僧侶の育成に尽くされました。弘法大師より伝えられる真言宗の瞑想法・阿字観(あじかん)にも懸命に研鑽された方なのです。
Q3ご宝号って、何ですか?
 真言宗智山派の寺院では、朝のお勤めや年中行事、ご法事などの最後に御宝号(ごほうごう)と普回向(ふえこう)をお唱えします。これは皆さんにお配りする、やさしいお経『勤行聖典(智山勤行式)』にも載っています。『勤行聖典』の後半には「光明真言」「御宝号」「普回向」と続きます。その中の御宝号は、私たちが尊崇し信仰する聖なるもの(本尊・両祖大師など)へ祈りを捧げるためにみんなでお唱えします。
 はじめに「南無本尊界会」次に「南無両部界会」をお唱えします。最初はご本尊さま、次に真言宗の仏さますべてが住する曼荼羅世界、胎蔵界と金剛界の両部曼荼羅を拝みます。そして弘法大師空海の御宝号「南無大師遍照金剛」と中興の祖、興教大師覚鑁の御宝号「南無興教大師」とお唱えします。最後に「南無法界萬霊(なむほうかいばんれい)」とお唱えして、仏さまの世界で安らかにしておられるすべての亡きみ魂にも祈りを捧げます。

わかりやすくQ&A一覧