真言宗智山派吉祥院珍珠山

仏教コラム

わかりやすくQ&A仏教って何だろう?【5:釈尊の教え「八正道(はっしょうどう)」】

Q1苦しみを消す8つの実践とは…?
 お釈迦さまの教えである四諦(したい)は、「人生は思いどおりにならない苦である = 苦諦(くたい)」「苦の原因は煩悩によって生まれる = 集諦(じったい)」「苦( 煩悩) を消滅させれば安らかになる = 滅諦(めったい)」「安らかな境地(涅槃) となるための実践の道がある = 道諦(どうたい)」というものです。
 この涅槃に至る実践( 修行) の道のことを八正道と言います。実践の道、修行などと言うと、ちょっとやそっとではできない、難行・苦行の道…なんて想像してしまうかもしれません。でも、そんなに難しいことでもないと思います。私たちが日ごろから気をつけたいこと、心がけようと思っていることも当てはまりますし、また、ウォーキングとかストレッチやヨガにトライする感覚で、少しずつ実践していけることがいくらでもあります。八正道はその名の通り、8つの正しい道。人間が人間らしく、自分らしく生きるための実践の道筋とも言えるのです。
Q2苦を滅する実践…はじめの4つは?
 八正道の最初は「正見(しょうけん)」です。物事を正しく見ること。つまり、お釈迦さまの教えるとおりに、物事をありのままに見つめるのです。どうです? わかりやすいでしょう。
 その次は「正思(しょうし)」です。正見(物事を正しく見ること)によって、正しく考えることです。よけいな主観をはさまずに、しっかりと正しく考えるのです。
 3つ目は「正語(しょうご)」です。これは正見によって正しい言葉を語ることです。ウソをついたり、無駄なおしゃべりをしたり、他人を傷つけることは言わないようにします。
 そして4つ目は「正業(しょうごう)」です。正見によって正しい行いをすること。詳しく言うと、いのちある生きものを殺したり、他人のモノを盗んだり、みだらな行為などをしないことです。
Q3苦を滅する実践…あとの4つは?
 八正道の5つ目は「正命(しょうみょう)」です。正見によって、正しくて健全な生活を送ること。正しい手段で、衣・食・住の糧を得ることです。
 次が「正精進(しょうしようじん)」です。これは正見によって正しい努力を続けることです。悪い行ないは止めて、善い行ないに改める。そして、これまでに実行してきた善い行ないは、ますます励むようにします。
 7つ目は「正念(しょうねん)」です。これまでの6つの実践にもとづいて、お釈迦さまの教えを正しく心にとどめる。真実への思いを深めて専念することです。
 最後は「正定(しょうじよう)」です。正見や正念に即して、正しい瞑想を行なうことです。定とは精神集中する瞑想のことで、禅定のことを言います。
 この8つの正しい行ないを実践することが、知恵を磨いて、心を安らかにするのです。八正道は、私たちが毎日の暮らしの中で実践できる道、行ないでもあるのです。

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