真言宗智山派吉祥院珍珠山

仏教コラム

わかりやすくQ&A真言宗の教えって、なに?【6:あなたも仏に成れる?】

Q1仏ってなに?
 仏とは、一体何なのでしょう? 前回のQ&Aでも触れましたが、仏と聞けば、観音さまや、阿弥陀さま、お地蔵さまなどの仏像や仏画を思い描く方も多いでしょう。仏と言ってもピンとこない。だからお経に説かれる教えの境地をビジュアル化したのが仏像、仏画ということになります。ビジュアル化すれば大日如来や阿弥陀如来、観音菩薩や地蔵菩薩とそれぞれの徳(性質)を持った仏さまとして描かれます。
 でも、もともとは私たちの内に秘められた性質を仏と名付けました。それは何か? 私たちの可能性とか理想型、それを仏と呼ぶのです。私たちには誰にでも仏に成る性質(種)を宿している。それが仏教の教えによって少しずつ修行を重ねれば、その可能性が開花して仏の境地を得ることができる。だから自分の内なる可能性を仏というのです。
Q2成仏する可能性ってあるの?
 私たちは欲にまみれているし、執着ばかりだし、日常の暮らしの中で修行なんかできない。きっと誰もがそう思うでしょう。仏に成れるわけがない。仏に成るなんて絵空事、死んでから成仏できればいい、なんて思う方もいらっしゃるでしょう。でも仏教、特に真言宗は本来、仏に成る、成仏することが最終目的です。そして、いのち果てて葬儀の時に菩提寺の住職から引導を渡されて迷わず成仏する。勿論、亡き人はそこで迷わず成仏するのですが、生きている時から、いのちある時に成仏すること、それが真言宗の目指すところです。
 私たちの内なる可能性、それを仏と呼ぶ。私たちの理想型を成すこと、つまりそれが本来の自分になる。仏に成るということです。成仏する可能性は無限にあります。そのために教えを正しく理解し、それに基づいて毎日の暮らしを送る。その積み重ねが仏に成る可能性を拡げるのです。
Q3仏に成るにはどうすればいい?
 そのためにお釈迦さまは四諦八正道を説きました。紙面の都合からここでそれは詳しく説明しません。でも今の私たちにできることはいっぱいあります。仏の教えを信じること。そのために御詠歌や写経・写仏、巡礼や阿字観など仏さまを実感できるそうした活動(修行)をささやかに積み重ねれば、信心が育まれ、仏の世界が感じられ、仏さまを実感できます。それが生きる力となり、あなたの支えとなるはずです。
 そして何よりもお家のお仏壇にお灯明を灯し、香を焚き、お水やお茶をお供えして、毎日手を合わせ、ご先祖さまや亡き人のご冥福を祈る。さらには生きとし生けるものの無事を祈り、無事であることに感謝する。毎日の仏事を丁寧に積み重ねる先には、心が安らかになるのです。その心持ちはまさしく仏の境地そのものと言えるでしょう。

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