真言宗智山派吉祥院珍珠山

仏教コラム

わかりやすくQ&A真言宗の教えって、なに?【4:曼荼羅とは?】

Q1曼荼羅って、どんな意味があるの?
 真言宗のお寺には、ご本尊さまをお祀りする本堂の奥に必ず数多くの仏さまが描かれた曼荼羅図が掛けられています。曼荼羅という言葉は、円とかサークル、集まりという意味があります。さらには「極無比味 無過上味」という意味が転じて醍醐味という意味も含まれます。仏さまの集合体、悟りの境地、教えのエッセンス。そんな理解もできるでしょうか。
 真言宗では特に大切なお経が2つあります。それが『大日経』と『金剛頂経』で、この経典を解き明かしビジュアル化して図絵したものが胎蔵曼荼羅と金剛界曼荼羅という曼荼羅図です。『大日経』に説かれる「仏の慈悲」を描いたものが胎蔵曼荼羅、『金剛頂経』の「仏の智慧」を図絵にしたものが金剛界曼荼羅です。真言宗の教主・大日如来の慈悲と智慧のはたらきをそれぞれ仏さまのお姿で顕わにしたもの、それが真言宗のこの現図両界曼荼羅です。
Q2どうしていろんな仏さまがいるの?
 お寺にお参りに訪れる方にこんな質問をされました。「仏教はお釈迦さまが始めたものなのに何で色んな仏さまがあるの?」というのです。確かにどこのお寺も釈迦如来をお祀りしてそれでいいのでは?って思うのも分かります。でも、真言宗は数多くの仏さまとの関わりをこう考えます。真言宗の教主は釈迦如来ではなく大日如来です。
 今から2500年前に釈尊が悟られて教えを説かれて仏教がかたちづくられました。でもその悟りの世界(境地=真理)は釈尊が悟る前から存在していた。ずっと前から真理(自然の摂理)は存在していて、それを始めに発見したのが釈尊だから、ずっと前から存在した真理(法)そのものを仏さまのお姿で象徴したのが大日如来なのです。真言宗では大日如来がさまざまな仏さまに変身(変化)して、迷える人に最も親しみやすいお姿となり、目の前に現れるのです。
Q3仏さまのお姿には意味があるの?
 それでは大日如来の他にどんな仏さまがいるのでしょう? 如来を名乗る仏さまは釈迦、阿弥陀、薬師などがあります。菩薩には観音、地蔵、文殊、弥勒など。明王には不動や愛染。その他に帝釈天、毘沙門天などがあります。これらの仏さまはお顔の表情、服装、身に付けているもの、手のかたち、すべて個性あふれています。そうした個性的な装い、表情にはすべてに深い意味が込められています。
 例えば観音さまはどこまでもやさしいお顔立ちで私たちの心を癒します。手には慈悲を象徴する蓮の花を持ち、迷える衆生を手招きます。お不動さまは怒りの形相で罪を戒め、私たちの煩悩や執着を手に持つ剣で切り裂き、背中の火炎で心を清浄にします。そうしたそれぞれの個性的な仏さまのお姿は、大日如来の活動の一つ一つを具体的に現わし、私たちをすくい取ってくれることを示しています。

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