真言宗智山派吉祥院珍珠山

仏教コラム

わかりやすくQ&A仏教って何だろう?【7:涅槃】

Q1「涅槃」ってどんな意味だろう?
 涅槃というと「あの世」とか「天国」「極楽」を思う人もいるでしょう。この涅槃はもともとインドの古い言葉に通じていて、ニルヴァーナ、ニッパーナというのが語源のようです。中国では、減、寂などと訳されました。吹き消すこと、吹き消した状態という意味で、仏教では燃え盛る煩悩の炎を吹き消して、悟りの知恵を得た境地を言います。迷いから自由となる悟りの世界のことで、仏教徒が目指す境地と言えるでしょう。
 『涅槃経』には、涅槃は常・楽・我・淨の4つの徳をそなえた境地とあります。常は涅槃が永遠であること。楽とは安楽に満ちていること。我は絶対的でゆるぎない境地であること。淨とは清淨な境地であることが説かれています。このお経には、如来(仏さま)ぱ常住し、生きとし生けるものはすべて仏になる可能性がある、とも教えられています。仏さまは涅槃の世界に留まらずに、私たちの迷いの世界で救済活動に尽力しているというのです。
Q2「涅槃」ってどんなところだろう?
 涅槃には寂静という意味があります。煩悩を滅した悟りの境地で、つまり、仏の世界のことです。この世で亡くなり、引導を渡されて仏さまに成るのなら、あの世は仏の世界、涅槃ということになるでしょう。三途の川を隔てて、今いのちある私たちが居る此の岸と仏さまの居る彼の岸、彼岸も涅槃と同じ意味です。そして、真言宗のお寺にある曼茶羅図の中心、大日如来を真ん中に四方に配された四仏は、常楽我浄の4つの徳に例えられています。
 涅槃とはどんなところか? 永遠にゆるぎない世界で、清らかで何の曇りもない、安らかで楽しみあふれる場所です。菩提寺のご本堂の内陣は、そうした空間をビジュアル化したものと言えるでしょう。また、そうした涅槃の境地を図絵にしたものが、真言宗の現図両界曼茶羅です。もし機会があれば吉祥院でご覧になってみてください。
Q3どうすれば「涅槃」に行けるのかな?
 涅槃に行ける方法、その道筋はどこかに示されているのでしょうか?
 もう2500年も前に説かれています。お釈迦さまの教えとは、まさしく涅槃に到る道、方法を説いたものです。四諦と八正道の教えは、涅槃に到る実践法です。四諦(4つの真理)とは「苦・集・滅・道」ですよね。この滅は、苦を滅すれば涅槃に到ること。道は、8つの道(修行)を実践すれば苦を滅することができる、という意味です。
 苦を滅するために八正道を実践する。そうすれば苦を滅して涅槃に到れるというのが、お釈迦さまの教えの原点です。生きることは苦であるから、苦を引き起こす煩悩を失くせば迷うことなく自由になれる。燃え盛る煩悩の火を吹き消すための実践、それが八正道です。(八正道についてはすでにこのコーナーで述べていますのでご覧ください。)

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