真言宗智山派吉祥院珍珠山

仏教コラム

わかりやすくQ&A仏教って何だろう?【6:釈迦の教え・縁起の法】

Q1『縁起』の本当の意味とは…?
 私たちはよく「縁起がいい」「ご縁がある」などと言います。それは、運が良いとか、運命を感じるといった感覚でこの言葉を使っているのです。それでは「縁起」という言葉には、本来どんな意味があるのでしょう。実は、この縁起という言葉は、仏教を開かれたお釈迦さまの教えに由来しているのです。
 縁起とは「縁(よ)って起こる」ということです。「この世のあらゆる物事には必ず原因と結果がある。」「物事がそれだけで存在することは無い」ということです。原因があるからすべての現象は存在する。その存在が原因となって次の結果がもたらされる。そうした因果関係を見極めたのが、お釈迦さまの悟られた境地の一つなのです。私たちのいのちも、生れ死に、死に生まれる。必ずどこかでつながっている。そのことを縁起という法則で説き明かしたのがお釈迦さまの教えです。
Q2あらゆる物事は、何に縁って起こるのか?
 縁起の法を説明する時、次のように例えます。花は種がなければ咲くことはできません。また、土や水や温度や光がなければ、花を咲かせることはありません。この時の種が原因で、水や光などが条件となって、花は咲きます。縁起の法は、種を「因」、水や光などを「縁」、花が咲くことを「果」と呼びます。このように縁って起こる法則を縁起と名づけたのです。
 縁起の法は「これがある時、それがある。これが生じる時、それが生じる。これが無い時、それが無い。これが滅する時、それが滅する。」と言い表わします。あらゆる物事はすべて因果関係で成り立っている、物事はそれ自体では存在しない、ということです。お釈迦さまは、思いどおりにならない苦しみから抜け出すには、どうしたらいいかと考えました。苦しみは何に縁って起こるのか?その問いかけから縁起の法に行き着いたのです。
Q3どうすれば、苦は消滅できるのか?
 お釈迦さまの教えも、因果関係を意識したものになっています。四聖諦と八正道もそうです。四聖諦は、苦・集・滅・道の四つの真理から成り立っています。1.人生は思いどおりにならない苦である(苦)。2.苦は欲望を引き起こす煩悩である(集)。3.煩悩を滅した状態が涅槃である(滅)。4.涅槃に至るには修行の道がある(道)。というものです。
 この苦と集、滅と道が因果関係となって説かれているのです。集が原因となって苦という結果を生む。道(=八正道) が原因となって滅という結果をもたらすというわけです。
 お釈迦さまの教えは、苦を滅して解脱する、涅槃(悟り)に至ることを目的とします。苦の原因を探り、苦を滅することで生存の苦しみから抜け出すのです。つまり、渇愛が原因となって執着を生じ、執着することが原因で苦が生じるという因果関係を解き明かすのです。

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